日程: 2026年11月4日(水)〜6日(金)

場所: 京都大学数理解析研究所111号室

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  • 統合講演者が決まりました! 今年は4名の先生に様々な観点から講演をお願いしています!(7/2)

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統合講演

焼野 藍子 先生 (東北大学流体科学研究所 准教授)

決定論的支配方程式に基づく乱流遷移の予測と制御 ―理論・数値解析・実験と数理科学の協働―
Prediction and Control of Turbulent Transition Governed by Deterministic Equations: Collaboration among Theory, DNS, Experiment, and Mathematics 

Abstract
ナビエ・ストークス方程式は決定論的な支配方程式でありながら、非線形性・散逸性・偶然性を有するため、乱流遷移の予測と制御は依然として困難な課題である。演者らは現在、遷移現象を支配する「非直交基底の過渡増幅」の特定と制御に取り組んでいる。

これまでに、実際の航空機巡航条件を模した大規模直接数値計算により、複数の不安定解が結合・干渉し、従来の安定性解析では評価できない非直交基底の過渡増幅成長を通じて遷移に至る過程を示してきた。この知見に基づき、壁近傍で過渡増幅する基底とは異なる波長の人工的な微小凹凸を分布させ、その成長を安定的に抑制するDistributed Micro Roughness (DMR) 表面を提案している(特許第7609489号)。「遷移抑制には鏡面仕上げが定石」とされてきた航空業界の常識に反し、1m級磁力支持天秤装置 (MSBS) による直接抗力計測では、流体力学的に滑らかな粗さスケールにもかかわらず最大43.6%の抗力低減が確認され、2026年にJournal of Fluid Mechanicsに掲載された。

また、プロジェクトではマグニチュードホモロジーやDMD/Koopman作用素論など、データ駆動的に支配的な基底を特定する数理的手法の構築も並行して進めている。演者自身も遺伝子発現プログラミング (GEP) による物理拘束付き乱流モデリングに取り組んでおり、こうしたデータ駆動的アプローチの有用性は実感している一方、DMR発見の起点となった「滑らかな粗さスケールでの大幅な抗力低減」という結果は、物理的仮説を出発点として実験的に検証されたものであり、既存データの延長線上にある統計的推定とは異なる経路をたどっている。本講演では、この事例を題材に、理論・数値解析・実験と数理科学的なデータ駆動手法がどのように協働しうるかについて議論したい。

住野 豊 先生 (東京理科大学先進工学部 教授)

生命を模した非生物系での流体誘起パターン形成

Abstract
我々は生命現象を模倣するという観点から,流体力学と結合した非平衡パターン形成現象に着目し,実験的な研究を行ってきた。本講演では,非生物材料を用いた実験系を中心に,これまでの研究を紹介する。

まず,化学反応によって凝集が生じる系において,溶液注入時に誘起される界面パターンについて紹介する。この系では,注入先端が固化することで溶液の進展が阻止され,自発的に樹枝状パターンが形成されることが知られている。我々は,この樹枝状パターンのダイナミクスが,セル内に設けた構造によって制御できることを見いだした。こうしたダイナミクスは,界面のみを記述した数理モデルによって説明できる(Tanaka, Otoguro, … , YS, Phys. Rev. E 2024; https://doi.org/10.1103/PhysRevE.109.065105)。一方で,流体場を陽に取り入れた記述は今後の課題である。この点についても,講演を通じてご議論いただきたい。

続いて,電気浸透流によって駆動されるコロイド粒子系について紹介する。この系は,サイズの異なる2種類のポリスチレン粒子を水相中に分散させたものであり,外部電場を印加すると,各粒子の周囲に粒子へ向かう電気浸透流が形成される。この粒子間相互作用によって,多彩な集団運動が生じる。我々は,粒子間の電気浸透流による相互作用を,作用・反作用の法則が見かけ上破れた非相反相互作用としてモデル化することで,実験で観察される集団運動を再現できることを明らかにした(Hara, … YS, Phys. Rev. Lett in press; https://arxiv.org/abs/2509.23164)。この研究でも,電気浸透流そのものを陽に取り入れた流体記述には至っておらず,今後の発展についてもご議論いただければ幸いである。

澄川 太皓 先生 (岩手大学理工学部 助教)

魚類遊泳のバイオメカニクス:生態・進化・工学への展開

Abstract
魚類は,尾鰭,胸鰭,背鰭,臀鰭などを巧みに協調させることで,高速遊泳,急加速,旋回,姿勢維持,省エネルギー移動といった多様な運動を実現している.これらの遊泳能力は,採餌,捕食者からの逃避,回遊,生息場所の選択,繁殖など,生存や適応度に深く関わる.したがって,魚類の形態や遊泳動作が,流体との相互作用を通じてどのような力学的機能を生み出すのかを解明することは,魚類の生態や進化を理解するうえで重要である.また,魚類が有する高い推進性,機動性および環境適応性は,水中ロボットをはじめとする工学技術への応用という観点からも注目されている.本講演では,魚類の形態や遊泳動作が生み出す流体力学的機能について,バイオメカニクスの観点から紹介する.さらに,得られた力学的知見を生息環境,行動様式および形態進化と結び付けて解釈するメカノエソロジーならびに進化バイオメカニクスの可能性について議論する.加えて,生物が有する推進・姿勢制御機構を工学設計へ展開し,魚類規範型水中ロボットをはじめとする高性能な水中機器へ応用する方向性について述べる.本講演を通じて,魚類遊泳のバイオメカニクスが,生物の機能解明にとどまらず,生態・進化の理解や工学応用へと展開し得ることを示す.

山野 彰夫 先生 (大阪公立大学工学部 講師)

ヘビ型ロボットに作用する流体力の同定および各粘性流体中における最適遊泳運動の解明

Abstract
ヘビやウナギなどの生物は,複雑な流体環境下において流体力を巧みに利用することで,高効率かつ柔軟な移動運動を実現している.特に,周囲の粘度に応じて生物が身体のうねり運動を適応的に変容させる意義の解明は,生物の機能と環境の相互作用を理解する上で不可欠である.本発表では,モデルとして粘性流体中を力学的に推進するヘビ型ロボットのうねり推進を対象にし,粘度が異なる各粘性流体中における流体力同定と数値最適化の両面からアプローチした取り組みを紹介する.具体的には,流体・推進運動モデルに基づいた流体力の同定手法と,各粘性流体中における推進速度や移動効率を最大化する最適化事例を紹介し,うねり推進おける制御系・機構系・流体力学の相互作用について述べる.

組織委員
飯間信(広島大院統合生命)
鈴木康祐(信州大院工学系)
藤田雄介(島根大総合理工)

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