日程: 2024年10月30日(水)〜11月1日(金)

場所: 京都大学数理解析研究所111号室

お知らせ

  • 研究会は盛況のうちに終了しました。講演・参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!(2024.11.5)
  • 発表者の方へ: 発表は各自のPCでお願いいたします。(2024.10.24)
  • 懇親会のご案内を講演者と参加登録者全員にお送りしました! それ以外で懇親会への参加を希望される方はご連絡ください。(2024.10.23)
  • プログラムを公開しました!(2024.10.8)
  • 旅費希望の皆様: 今週後半以降に連絡が来るかと思います。(2024.10.8)
  • 講演者の皆様: 本日プログラムの確認メールをお送りしております。届いていない方はご連絡ください。
  • 統合講演のタイトル・アブストラクトを掲載しました!
  • 統合講演者が決まりました! 今年は4名の先生に様々な観点から講演をお願いしています!

参加申し込みはこちらからお願いします (締め切りました.聴講は当日現地に来ていただいても可能です)

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統合講演

青野 光 先生 (信州大学繊維学部 准教授)

羽ばたき飛行の飛行メカニズムとモータ駆動の羽ばたき飛行ロボット

Abstract
蝶々がひらひらと舞う姿や、鳥が空を自由に飛び回る様子は、私たちを魅了してやみません。これらの生き物たちは、素早く方向を変えたり、風に負けずに飛んだり、小さな体で長時間飛び続けたりと、驚くほどの飛行能力を持っています。そんな生物の飛び方の秘密を解き明かそうと、今も多くの研究が進められています。本講演では、羽ばたき飛行の仕組みについて、これまでの研究成果をご紹介いたします。特に、数値解析を使った解析から分かってきたことを中心に、生物学的な観察と工学的な分析の両方から見えてきた結果をお話しさせていただきます。また、最近取り組み始めました、モーターで羽ばたく小型飛行ロボットの開発についてもご説明いたします。最新の技術を使ってロボットをどのように設計し作っているのか、現在どこまでできていて何が難しいのか、そして将来どんなことができるようになりそうかについて考察させていただきます。さらに、つい最近始めた研究として、自由に飛んでいる昆虫の動きを測る新しい方法を適用した結果についても少し触れさせていただく予定です。生き物の飛び方を完全に理解するには、工学と生物学の両方の視点が欠かせません。この講演では、異なる分野のアプローチがどのように組み合わさって、飛行の謎解きに役立っているかをお伝えいたします。皆様と一緒に、羽ばたき飛行の最新の研究と、それを活かしたロボット技術の可能性について考える時間を持てればと思います。

関本 敦 先生 (岡山大学大学院環境生命自然科学研究科 准教授)

データ駆動計算による流体制御と生物流体への応用

Abstract

本講演では,データ駆動計算を流体工学における重大課題である乱流制御に応用した成功例を紹介する.データ駆動計算とは、大量のデータから計算モデルを構築し,諸現象を理解・予測・制御するためのAI技術である.従来の物理に基づいた数理モデリングとは異なり,データから汎用モデルのパラメターを学習することで,より複雑な現象にも対応でき,高速かつ精度の高い予測や制御が可能となることがある.本研究では,具体的に,深層強化学習を用いた3次元正方形ダクト内の乱流の二次流れに対する熱的制御の結果を紹介する.深層強化学習は,ディープラーニングと強化学習を組み合わせた手法であり,複雑な環境下での最適な行動を学習するものである.低レイノルズ数での2次元円柱後流のカルマン渦列の制御だけでなく,予測困難な(少なくとも低いレイノルズ数における)3次元の乱流場においても効果的であることを示唆している.
 流体の物理メカニズムの理解は依然として重要であるが,データ駆動計算をブラックボックス的に利用することで,新たな現象や制御手法の発見も期待できる.それらを契機として,生物学と物理学の間をつなぐ新たな数理モデリングのアイディアにもつながる可能性がある.批判を恐れずに,積極的にAI技術を利用して新たな学問を切り拓くチャレンジ精神が今最も重要である.

菊地 デイル 万次郎 先生 (東京農業大学農学部 助教)

生態学としての生物流体力学

Abstract
動物の行動は小さな動きの積み重ねであることから、力学的な制約のもとで形成される動物の形態と運動はエネルギー収支を介して適応度にまで影響する。生物流体力学は、動物の運動における普遍的な原理や機能の発見を遂げてきた。つまり、生物流体力学は生態学および進化生物学の関連分野と親和性が高く、重要な貢献をするだろう。その一方で、生物学と物理学という学問の隔たりに起因してか、生物学者が流体力学に基づくアプローチで動物を研究する例は限られている。また、生態学や進化生物学の問いに端を発した流体力学的な研究も限定的であっただろう。本発表では、海鳥ウトウの飛行と遊泳をフィールドで計測した成果、特有のクチバシ形態や餌運びの行動に関する研究を発表する。そして、流体力学に基づくアプローチが、野生の鳥類を対象とした生態および進化の理解にいかに貢献し得るかを考察する。

伊藤 将 さん (東北大学大学院理学研究科 博士後期課程2年)

魚の集団運動のモデル化〜現象論・流体・視覚〜
Models of collective motion of fish – phenomenology, hydrodynamic and visual interaction

Abstract
魚は向きの揃った群れや回転する群れなど多様な集団パターンを示す興味深いアクティブマターの素子である.これらを支えるのは魚の持つ多彩な相互作用である.周囲の魚が作りだす流れ検知や視覚による認識まで,複雑な情報源からどのように群れが形成されるのか,その多くが未解明である.本講演では我々がこれまでに構築した様々な階層のアプローチによる魚の集団運動のモデルを示す.初めに示す現象論モデルでは,多様な形状の回転パターンや群れの大きさといったマクロな性質に対しては定量的によい一致を見せる.一方で,集団運動の成因を理解するためには,現象論を越えた相互作用の記述が重要である.受動的な流体相互作用の顕著な例として,尾ヒレから放出される逆カルマン渦を介した二匹の尾の運動の同期現象を扱う.本モデルでは尾を平板翼で近似し,生理学的ノイズを加えることで自発的に尾の振動運動の振幅や位相が変化する.このとき,渦を介した相互作用により,位相差と距離の確率分布が線形な相関を持ち,遊泳エネルギー散逸率が単独遊泳のものより減少する.ただし散逸率の最小化はなされていないという興味深い結果を得た.また,流体に加え魚にとって視覚情報は無視できない重要な位置を占めており,眼の神経機構に基づいた視線の移動を考慮したモデルについても紹介する.時間が許せば,視覚相互作用のボルツマン方程式による連続体描像についても触れたい.

組織委員
飯間信(広島大院統合生命)
鈴木康佑(信州大学工学部)
山下博士(広島大院統合生命)
藤田雄介(広島大院統合生命)

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