2018.2.23
2018年度の生物流体の研究集会「生物流体力学における諸問題」の日程が11月12日(月)から14日(水)ときまりました。詳細が決まりましたらこちらに掲載致します。
2017.10.4

公益財団法人 マツダ財団より研究助成金を頂けることになり,賞状兼記念品をいただきました.
最近の研究から: 流れが作るパターン
洗濯機のような円筒に水を入れて底面だけを等速回転させます.当然水面は凹みます.形は普通,軸対称ですね.
しかし,ある条件の場合は不思議な事がおこります.その場合,水面の高さの時間変化を見ると一定ではなく,幾つかの状態間を遷移するのです.Surface switching と呼ばれていますが,詳しいことはまだわかっていません.
- T. Suzuki, M. Iima and Y. Hayase, “Surface switching of rotating fluid in a cylinder", Phys. Fluids 18 (2006) 101701.
水面が通常より下がる状態では,写真のように軸対称でない二股形状を示すことが知られています.どうやってこんな面白いことが起こるのか,どんな流れが関係しているのか,という解析を行っています.
- Y. Tasaka and M. Iima, “Surface switching statistics of rotating fluid: Disk-rim gap effects,” Physical Review E, 95 (2017) 043113.
- M. Iima and Y. Tasaka, “Dynamics of flow structures and surface shapes in the surface switching of rotating fluid”, J. Fluid Mech. 789 (2016) 402–424.
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局在生物対流

ミドリムシという微生物がいます(右図).
左図は,遊泳している時の周りの流れの様子を可視化したものです
(ミドリムシは中央で横になっていて,右に泳いでいます).
前後には胴体に向かう流れ,上下には胴体から離れる方向の流れができています.ミドリムシはしばしば運動方向を変えて及びますが,その様は単純なブラウン運動ではありません.
この微生物を 1mL 当たり 100,000 匹ほど集めて下から光を当てると生物対流というパターンが出来ます.おもしろいのはこのパターンが局在構造を持つことです.
我々は,局在構造の基本構造を抽出したり[1],局在する機構について研究を行っています.これらの結果はこの現象の流体力学的モデルの基礎となるものです.
局在機構として,我々はミドリムシが光強度の勾配に応答して運動すると予想し,それが正しいことを実験により初めて定量的に明らかにしました[2].眩しいので,仲間の陰に隠れるように運動した結果,局在生物対流構造ができる,というわけです.
- E. Shoji, H. Nishimori, A. Awazu, S. Izumi and M. Iima, “Localized bioconvection patterns and their initial state dependency in Euglena gracilis in an annular container”, J. Phys. Soc. Jpn, 83 (2014) 043001
- T. Ogawa, E. Shoji, N. J. Suematsu, H. Nishimori, S. Izumi and M. Iima, “The flux of Euglena gracilis cells depends on the gradient of light intensity,” PLoS ONE,11 (2016) e0168114. doi: 10.1371/journal.pone.0168114. (Open Access)
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昆虫が飛んでいるときは翼の周りには渦が形成され,それが飛翔効率の向上に役だっていると言われています.
下の動画は斜めの板に流れを当てた時の渦生成の様子を示したものです